政府は7月末に「子ども・子育て新システム」の中間とりまとめを発表し、来年の通常国会への法案提出に向けた動きを強めています。一方、9月から10月にかけて開かれた各地の地方議会では、この政府の方針に対して、法案提出そのものの撤回を求める意見書の可決が進んでいます。
埼玉県議会の意見書は、新システムでは、国の責任で福祉として行われてきた保育制度の根幹が揺らぐ恐れがあるとし、財源も不明確で、保育現場に混乱と不安を招くと指摘しています。その上で、今年度中の法律案提出との方針を撤回することを求めています。
【埼玉県議会】
「新システムの導入では、保育現場に市場原理が持ち込まれ、福祉としての保育制度が維持されないこと、保護者の負担増につながる制度の見直しとなることなどの懸念があり、国の責任で福祉として行われてきた保育制度の根幹が大きく揺らぐ恐れがある。
また、新システム導入に必要とされる約1兆円の財源は明確になっておらず、極めて不透明な情勢となっている。このままでは、平成24年度からの保育施策の方向性が明確ではなく、保育現場に混乱や不安を招くことになる。
1 子ども・子育て新システムについて、財源的な見通しが立たない中での移行は困難であり、「今年度中の法律案提出」との方針を撤回すること
2 保育制度の見直しに当たっては保護者、保育現場等の意見を十分尊重し、慎重に検討すること
3 来年度予算の編成に当たっては「安心子ども基金」の拡充等、保育の充実に向けた地方の創意工夫が生かされるよう所要の措置を講ずること
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9月定例県議会で、新システムに関する意見書は19県議会で可決され、意見書の表題で「撤回を求める」と表記した県議会は12、表題には「導入に関する意見書」等と表記しているものの、要求事項では撤回を掲げている県議会が3議会、「拙速な導入反対」が1県議会、「慎重対応を求める」が2県議会、「財源措置の明確化を求める」は1県議会となっています。
以下、10月18日現在で、保育研究所が調べた9月定例県議会の意見書可決状況の一覧を掲載します。
なお、意見書全文は、可決日付けで、『保育情報データベース』に登載しました。県議会名で検索が可能です。
(保育研究所調べ)