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(11.02.04)日本弁護士連合会、千葉県弁護士会、大阪弁護士会が「子ども・子育て新システム」に関する意見書を発表
(1)子ども・子育て新システムに関する意見書 (2011年1月21日) 日本弁護士連合会 日弁連意見書は、「新システムについては,未だ制度の詳細が必ずしも明らかではなく、具体的な意見を述べうる状況にまでは至っていないが、新システムが、要綱の冒頭で謳われているとおり、真の意味で『すべての子どもへの良質な成育環境を保障』し、『子どもを大切にする社会』を実現するものとなるように、以下のとおり意見を述べる。」として新システムの修正を求める形になっている。しかし、この意見書の基本制度案要綱に対する批判は、かなり辛辣である。例えば、「新システムにおいては、保育の提供を確保するため、必要な子どもにサービス・給付を保障する『責務』、質の確保されたサービスの提供『責務』など5つの『責務』が市町村に課せられているが、これらの内実が必ずしも明らかではないのみならず、これらの『責務』が保育の実施責任を前提しないとすれば、そのような『責務』は、画餅に帰すと言わざるを得ない」と述べている。 また、「要保護児童」の排除を避けるための応諾義務の実行化への疑問、保育サービスからの撤退による保育難民の発生への懸念等の意見が展開されている。さらに「介護保険型の利用者直接契約・利用者補助制度では、『すべての子ども』が排除されない制度とすることは極めて困難である。新システムにおける保育の具体的制度としては、自治体と事業者との間の委託契約を前提とした現物給付制度を採用すべきである」と現行保育制度の維持まで求めている。このことから判断すれば、この意見書は実質的に新システムの撤回を求めていると言える。
(2)子ども・子育て新システムに関する会長声明 (2010年12月15日) 千葉県弁護士会 千葉県弁護士会声明は、新システムの制度設計には、@児童福祉制度として機能してきた現行保育制度の解体、A十分な検討期間をおかない拙速な手続きという2つの重大問題があり、新システム導入に反対するとしている。そして、現行制度を解体するのではなく、財政確保の上での幅広い育児支援の量と質の拡大を求めている。
(3)「子ども・子育て新システム」に関する意見書 (2011年2月1日) 大阪弁護士会 大阪弁護士会意見書は、新システムの目的が待機児童の解消や保育需要を満たす必要性を受けとめ、解決を図ろうとしていることは評価しつつも、「解決手法が重大な制度改革であるうえ、様々な懸念事項を含んでいる」としている。懸念事項としては、「権利や方針の不存在」「現行制度で保障されてきた子どもの権利と最低基準の切り下げを招く危険性」「保育所の福祉的機能崩壊の危険性」「直接契約・応益負担により貧困家庭や障がい児等が排斥される危険性」「保育労働者の労働条件悪化と保育の質の低下を招く危険性」をあげている。そのうえで、1年に満たない検討期間で立法をめざすのは、拙速であるとし、法案提出に反対を表明している。
*上記の各意見書・声明を『保育情報データベース』2011年2月4日付けに登載
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