●保育所基準にも影響 |
国の第4回基準検討部会(8月29日)は、安倍政権の「待機児童解消加速化プラン」で「小規模保育」を新制度の先取りとして早期に実施するために、小規模保育基準案の論議をほぼ終えてしまいました。 |
小規模保育は地域型保育の一つで、定員6〜19人で原則0〜2歳の保育を提供する事業です。これを3つに分け、A型は認可保育所の分園等からの移行を想定し、C型は家庭的保育者(保育ママ)のグループ型、AとCの中間のB型の3類型が提案されています。 |
3類型の基準の主な違いは、保育者の資格に関するものです。A型は必要な保育者全員を有資格者としたのに対し、B型は保育者定数の半数が無資格者でよいとしています。さらにC型は、家庭的保育の基準をそのままスライドさせる形になっていますが、市町村長が行う研修を受ければ家庭的保育者(補助者)になれるので、保育士資格は必要ありません。 |
子ども数と保育者数の関係では、C型は0〜2歳児3人に対し保育者1人(補助者を置く場合は5対2)とされています。 |
一方、A型とB型では0歳児は3対1で、1・2歳児についても3対1にする意見もありました。結果的には、保育所と同様に6対1の基準になりましたが、「保育に従事する職員を1人追加配置することを求める」とされました。例えばB型で、子どもが0歳児3人、1・2歳児12人の場合、3人の保育者が必要ですが、さらに1人を追加して4人が、配置されるべき保育者数になり、その1/2(2人)以上が保育士資格者であれば認可基準を満たすことになります。A型で追加される保育従事者に、資格が求められるかは明示されていません。 |
厚労省等は「小規模保育の対象は低年齢層である」「保育所等との連携を前提としている」等の理由をあげて規制緩和を正当化しようとしています。しかし、保育施設の死亡事故の多くが0〜2歳児に集中している事実をとり上げるだけでも、今回の基準を正当化することはできないと考えます。また、施設等との連携もどこまで実効性があるのか未知数です。 |
論議が始まった小規模保育以外の地域型保育事業においても保育者の資格要件は緩和の方向性が示されていることを考慮すると、全員を資格者とした小規模A型は例外であり、地域型保育事業全体が、資格要件の緩和を前提にした仕組みといえるようです。 |
また、児童福祉法24条1項の適用を受ける認可保育所と、2項の適用を受ける地域型保育が並列の関係にあることを踏まえれば、今後、保育所の充実に大きな影響を与えると予測されます。 |