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(13.04.03)全保連ニュース 第2号 新制度における保育の利用は現行手続きと同様?

月刊『保育情報』速報版 全保連ニュース 第2号 2013.4.3
情報1 新制度における保育の利用は現行手続きと同様?
厚労省雇用均等・児童家庭局長が国会答弁
情報2 日弁連/子ども・子育て関連三法施行に向けた意見書
問題点を指摘し、その解決のための法改正を要求
情報3 幼児教育無償化で政府・与党連絡会議発足
6月に方針とりまとめへ−財源問題が論点に

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新制度における保育の利用は現行手続きと同様?
厚労省雇用均等・児童家庭局長が国会答弁


3月21日、参議院の厚生労働委員会において、田村智子議員(日本共産党)は、認可保育所の入所が不承諾になった保護者たちが、行政不服審査法に基づく異議申し立てを集団で行っている問題にふれ、2015年度から導入予定の新制度でこうした異議申し立て(不服申し立て)ができるかどうか、質問をしました。
政府はこの間、保育所以外の施設・事業(24条2項)の利用についても、保育所の利用とあわせて市町村が「利用調整」をするので市町村の責務は変わらないと説明しながら、その内容を具体的に明らかにしてこなかったので、田村議員は、異議申し立ての可否を問う点から、この問題を追究する質問を行ったようです。
これに対し、厚労省の石井淳子雇用均等・児童家庭局長は、新制度において保育を必要とする子どもの施設・事業の利用について行うとされている市町村の利用の調整は、現行の保育所の利用手続と同様に、利用者が市町村に対して利用希望を出した上で、それに基づいて市町村が調整を行う仕組みであり、利用者の希望に沿わない調整結果になった場合、市町村に対してその調整結果について異議申立てを行うことが制度上想定され、可能と考えるとして、特に保育所については、現行制度となんら変わらないと答弁しました。
「保育所の利用」については、異議申し立てが具体的に可能ということを含めて現行制度と何ら変わらないと、厚労省に公式の場で答弁させたことは、重要な成果といえます。一方、この間政府資料では、保育所の制度を、公立・私立に分けて説明することが多いのですが、今回の局長答弁は、その区分けもせず、現行制度と同様だとしました。この点の政府の説明は、一貫しておらず、今後追求を続ける必要があります。
今回の答弁で問題なのは、児童福祉法24条2項に該当する保育所以外の施設・事業についても、市町村の「調整責任」が生ずるようにも受け取れることです。この点は、非常に不可解です。法律の専門家らは「24条1項と2項における市町村責任は明確に異なり、市町村が決定権を持たない直接契約の2項の対象施設・事業への入所に対して、異議申し立てが可能と考えることは難しい」との見解を示しています。
政府は、24条1項も2項も大差はないという立場をとり続けているので、2項の対象施設・事業の利用調整にも異議申し立てが可能と受け取れる答弁になったと考えられますが、今後、市町村が行うどの処分に対して異議申し立てができるのか、その後行政訴訟は可能なのかなど、具体的に政府見解を明らかにする必要があります。

政府答弁の内容は以下の通りです。
○政府参考人(石井淳子君) 子ども・子育て支援新制度におきましては、保育を必要とする子供の施設、事業の利用について、市町村が利用の調整を行うこととされております。利用調整の手続など詳細は今後検討でございますけれども、これは現行の保育所の利用手続と同様に、利用者が市町村に対して利用希望を出した上で、それに基づいて市町村により調整が行われると、こういう仕組みになるわけでございます。
この利用手続の中で、利用者が例えば自らの希望に沿わない調整結果になった場合、これは市町村に対してその調整結果について異議申立てを行うということが新制度上想定をされ、また可能と考えております。特に保育所の利用につきましては、これは現行制度と同様、新制度におきましても利用者が市町村に対して申込みを行う、そして市町村と契約を結ぶということになりますので、異議申立てを含めて市町村と利用者が直接向き合う、そういう関係であることについては現行と何ら変わるものではございません。
このほか、新制度の保育の必要性認定などの支給認定についても、これは市町村が認定を行うということから、利用者が仮に認定結果に不服があるといった場合には、市町村に対して異議申立てを行うことになると考えられます。
いずれにしましても、この利用手続の詳細、これにつきましては本年四月に内閣府に設置をされます子ども・子育て会議などにおいて検討してまいりたいと思っております。
(国会議事録より抜粋)


日弁連/子ども・子育て関連三法施行に向けた意見書
問題点を指摘し、その解決のための法改正を要求


日本弁護士連合会(日本の全ての弁護士と弁護士会が登録している組織)が、3月14日付けで、「子どもの保育を受ける権利を実質的に保障する観点から子ども・子育て関連三法(子ども・子育て新システム)が施行されることを求める意見書」を公表しました。
その概要は、

  1. 改正児童福祉法第24条第1項と同条第2項で、保育を受ける子どもの取扱いに差異を生じさせるのは、憲法14条の平等原則に反している。児童福祉法第24条2項に規定された施設・事業も、1項と同様に取り扱いをすべきである。将来的には、2項の施設・事業も1項のように市町村が保育の義務を負うように改正すること。
  2. 保育の必要性の認定制度は撤廃すべきで、仮に、撤廃しないのなら、子ども自身が保育を受ける必要性を中心に考慮する認定制度とし、保育の必要量の長短の区分についても、短時間であっても現行の8時間以上とすべきこと。
  3. 保育にかける公金が、子どもの保育の質と量を維持拡大するために使われるような仕組みを設けるべきであること。
  4. 最低基準は、子どもが保育を受ける権利を実質的に保障しうるレベル以上のものとし、かつ、子どもが保育を受ける全ての施設・事業で、少なくとも重要な点については同じ基準とすべきこと。
  5. 保育料(子どもが保育を受ける際の保護者(親)の自己負担分)を無償化すべきこと。
という内容になっています。
この意見書の基本的な立場は、子ども・子育て支援3法による新制度を問題ある制度として批判し、その問題点を除去するためには、法改正こそ望ましいというものです。
その内容を学ぶとともに、こうした見方があることを広く周囲に知らせましょう。
本文は保育研究所の保育情報データベースか、日弁連のホームページを参照下さい。



幼児教育無償化で政府・与党連絡会議発足
6月に方針とりまとめへ−財源問題が論点に


政府と与党は、幼児教育の無償化に向けた、具体的な検討を行うために、2013年3月25日に、幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議の初会合を開催しました。
わずか30分程度の会議でしたが、政府として下村博文文科相、田村憲久厚労相、森まさこ女性活力・子育て支援担当相、加藤勝信内閣官房副長官が参加し、自民・公明党の担当者とともに、今後の日程等の確認をしています。
前の自公政権時代には、文部科学省に今後の幼児教育の振興方策に関する研究会が設置され、2009年5月に「幼児教育の無償化について」(中間報告)(月刊『保育情報』2009年8月号掲載)が公表され、幼稚園と保育所の3歳以上の「幼児教育部分」の保育料の無償化には、年間7,900億円の財源が必要との試算が示されました。
今後、無償化の対象や財源の確保策などを検討し、夏の参議院選挙に向けて、6月までには基本方針をまとめるとしていますが、具体的な制度設計がはじまる新制度とどう整合性をつけるのかなど、論議の終着点は予測できません。
マスコミは、この無償化で、新制度の導入が危うくなるとか、無償化の背後には幼稚園団体がおり、新制度は保育所団体が推進しているなどと、単純な構図で、対立を煽ろうとしています。
私たちは、国民の要求に根ざしながら、これらの論議に対して意見を表明していくことが大切と考えます。会議資料は前出の保育研究所の保育情報データベースか、内閣官房のホームページを参照下さい。



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