入所不承諾に対する、保護者の集団異議申し立て行動を多数のマスコミが報道したこともあって、認可保育所の増設が行政の課題として、再度浮上してきましたが、杉並区での取り組みの状況を、当事者の1人である勝連さんにご報告いただきました。 |
この異議申し立ては、行政不服審査法に基づく不服申し立ての一種です。不服申し立ては、裁判とともに、行政により侵害された権利・利益の救済制度として位置づけられています。裁判よりも簡易に実施できるのですが、実質的な権利救済につながるとは言いがたいという限界があります。しかし、保育所に入れない状態が恒常化している事態に対する住民の不満や保育所を作って欲しいという要求を顕在化させるという意義があるので、全保連としても、月刊『ちいさいなかま』4月号で練馬区での活動を紹介し、5月号でも大阪市の取り組みの掲載を予定するなど、異議申し立てを含めた入所運動の必要性を訴えてきました。 |
はじめから、入所待ちをしている保護者とのつながりが作れないと、あきらめるのではなく、ちょっとした工夫をすれば、新しい展開が拓けることを、各地の経験から学び合いたいと思います。 |
ところで、不服申し立ては、行政の処分・決定に不服があるときに行いますが(今回は、保育所への入所申込みに対する不承諾処分に対して)、@福祉事務所長が行った処分に対しては、上級行政庁である市町村長に行います(これを審査請求といいます)。A市町村長や教育委員会の処分の場合には、上級行政庁がないので、市町村長や教育委員会に再考を求めるとして申し立てをおこないます(これを異議申し立てといいます)。また、申し立ては、処分を知った日の翌日から60日以内に行う必要があります。 |
不服申し立ては、個人でも行えますが(委任状があれば代理人でも可)、今回のように集団で行うほうが、当事者が励まし合ってできますし、なにより行政当局やマスコミに対してより強い影響を与えることができます。 |
保育問題に取り組んでいる弁護士の大井琢さんがブログ等で紹介している異議申し立て書の見本を添付しましたので、ご活用下さい。 |
異議申し立て書の見本(PDFファイル,236KB) |
(大井さんのブログ http://ameblo.jp/hoiku-taikijidou 不服申し立てに関する相談にも応じられています。) |
なお、今後施行が予定されている子ども・子育て関連法による新制度では、児童福祉法24条の2項が適用される保育所以外の認定こども園等の直接契約の施設や事業において、不服申し立てはできないと指摘されています。なぜなら、これらの保育所以外の施設等への入所に関して市町村は直接責任を負わないからです。 |