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(08.10.27)保育制度解体を許さない500万人署名を一人でも多くの人に
全国各地で500万人署名の取組みが進められています。 福島県保育連絡会では、以下のような「お願い」の文章を配布しながら、取組みをすすめています。 署名の意義が簡潔かつわかりやすく説明されています。ぜひ各地でもご活用下さい。
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ゆたかな保育・子育ては私たちみんなの願い 保育制度解体を許さない500万人署名を一人でも多くの人に
私たちは、よりよい保育・豊かな子育てを実現するために、もっと国が保育・子育て支援に積極的にとりくむよう、国会請願署名に20年以上にわたって毎年取り組んできました。そのかいあって、2007、08年と連続で全会派一致で採択され、制度の改悪にストップをかけ、予算増額のために大きな力となりました。ありがとうございました。
「悪いことをやってはだめ!」と政府に言おう 今年も署名に取り組みます。が、今年は、これまでになく大事な意味を持つ署名運動となりました。というのも、与党・政府は、保育所制度に「直接契約」と「最低基準の大幅緩和」という「とんでもない改悪」を進めようとしているからです。 親が希望する保育所に直接申し込みに行って、そこで保育所入所の契約をすることを「直接契約」といいます。このやり方の一番の問題点は、保育所に入れない子どもが大勢いても自治体は保育所を作る必要がなくなるということです。いい保育をしている保育所があったとしても、満杯で入れないとか、保育料が高すぎて入れられないとか、そういう問題があったら、今の制度では市町村長の責任で改善しなくてはなりませんでした。しかし、直接契約になれば、親の自己責任で保育所に入れることになる訳ですから、そこでどんな問題が起こっているか、自治体は把握する必要がなくなります。 親から見れば不安いっぱいの仕組みになってしまう訳です。自治体が責任を持って保育所を作り、監督指導することになっているから、今の認可保育所の保育内容は一定水準に保たれ(もちろんもっとよくする必要はありますが)、保育料負担も家計に応じた額に抑えられています。今の公的な保育制度に比べたら、とんでもない改悪であることははっきりしています。
政府は何を考えているのか しかし、政府はなぜ、こんな仕組みにしようとしているのでしょうか。今の政府は、おそらく保育所に対してこんなふうに考えているのです。 「少子化で労働力が不足するのだから、これからは子育て中の母親にも働いてもらわないといけない。そして子どもも産んでもらわなくては年金制度も維持できない。だから保育所はもっともっと必要だ。しかし政府が保育に出す予算を増やしたくはない。 政府がお金を出さずに保育所を増やすためには、民間の力、つまり保育所を営利企業にやらせるのがいい。そのためには、もっと保育所の基準、たとえば保育士の資格と、園庭とか、給食設備とか、保育室の面積とか、そういうコストのかかる基準はできるだけなくしたらいい。それから、保育料も、もっと高くとれるようにしたら、もうけやすくなるだろう。そうしたら、企業が保育産業に参入しやすくなる。 だからまず、国がやるべきことは、質のよい公立保育所は企業にとって邪魔になるから、直接契約にして、自治体が保育に責任を持たなくてよいようにしてしまおう。そうすれば、公立保育所はもっと減っていくだろう。次には、最低基準のレベルをもっと下げる、そうすれば設備投資をしなくても、人件費をかけなくてもいい託児サービスが増えるだろう。保育料も上限を決めずに設定してもいいとすれば、企業は喜ぶだろう。そして国の保育予算も減らせる。いいことずくめだ。 ただし、保育の質があまり下がるのはまずいから、質の向上は保育サービスを提供する経営者の責任だから、保育サービスの評価制度は作りますとしておけば、言い訳は立つだろう。」
誰でも質のよい保育を利用できるようにすることこそ、 もっとも有効なお金の使い方 政府の本音を代弁するとこんなふうです。 おそろしいですね、目先の利益のことしか考えず、この日本の将来を担う子どものことや必死に働いて子育てしている家庭のことなど、ずっとずっとあとまわしなんですから。こんな制度にしてしまったら、保育の質がどーんと落ちてしまいます。 今の政府の一番の誤りは、子どもたちや家庭の幸せのために国の予算を増やすことこそ、日本にとってもっともお得だということを知らないということです。 政府は、家庭の子育てや保育にお金がかかりすぎると思っているようですが、世界的に見ると日本の政府は、子育てや保育にもっともけちなグループに入っているのです。ちょっと考えればわかることですが、保育所が増えて働く女性が増えれば家庭の所得だけでなく国全体の所得(GDP)が増えます。また、小さいときから質のよい保育をすべての子どもたちに保障することで、実力のある人間が育つことが世界的に立証されており、その結果生産性が30%程度向上するとアメリカの研究で立証されています。そのほか、幼い子どもたちの育つ環境をよくすることは、その後の学校教育をやりやすくし、犯罪の予防にもつながることが証明されています。 つまり、長い目で見ると、今の倍以上の国の保育予算を増やしても、それ以上の経済的(金銭的な)な効果が見込まれるといわれています。そういう見通しがあるからこそ、ヨーロッパでは3歳から保育を無料にして質のよい保育を国の責任で保証しようとする施策が広がっているのです。 目先の利益、一部の営利企業の損得だけしか眼中にないために、いま、私たちの政府はとんでもない改悪に乗り出そうとしています。
すべての子どもたちのために、 子育てに関わるすべてのおとなたちのために、 そして未来の日本のために、 どうか、この署名を一人でも多くの人に広げてください。お願いします。
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