全保連 全国保育団体連絡会 お問い合せはこちらから (平日午前10時〜午後5時まで)TEL:03-3339-3901/FAX:03-3310-2535
HOME 出版案内 保育研究所
NEWS(全保連の活動) 研修・セミナー 合 研 全保連の紹介

<< 「NEWS(全保連の活動)」の目次に戻る印刷に適したページ >>

(08.05.27)緊急アピール公表!

 これまで厚労省は、児童福祉の維持・向上を図る観点から、国と自治体が責任をもって保育を提供する現行保育制度を守るために、@保育所等の福祉施設が守るべき諸条件を示した最低基準を堅持する、A保育所と利用者が直接契約する制度導入に反対する、としてきました。ところが、この間そうした立場を転換するような動きを示たのです。
 全国保育団体連絡会では、その動きに対して、緊急アピールを採択し、すべての子どものたちに必要な保育を保障するために活動を強化することを表明しました。
【全国保育団体連絡会 緊急アピール】

厚労相検討表明/最低基準見直し、基準設定市町村単位で
 地方分権改革について、関係閣僚と首相官邸で折衝を行った舛添厚生労働大臣は、2008年5月19日、保育所などの福祉施設に関する全国一律の最低基準を見直し、市町村単位で設定できるよう検討する考え方を表明しました。
 厚労省はこれまで、全国で同水準の福祉を維持するには最低基準は不可欠としてきましたが、大臣によってその見解が覆されたことになります。子どもの保育にとって必要な最低条件が、自治体によって異なっていいのでしょうか?最低基準は戦後直後に制定以降改善が進まず、非常に貧しいレベルに押しとどめられてきたことを忘れてはなりません。その上で、自治体財政が厳しく、公費負担軽減のために、施設基準や保育行政の水準の低下が引き下げられる懸念が強くある中で、このような方針転換がなされたのは問題です。

社保審少子化対策特別部会「基本的考え方」/直接契約制度導入
 厚労省が主管する社会保障審議会の少子化対策特別部会(以下、特別部会)は、5月20日に、「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」(厚労省HP http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0520-6a.pdf 以下 基本的考え方)を公表しました。基本的考え方は、次世代育成支援分野での財源確保を主張するために、今後の社会保障制度全般のあり方に関する中間まとめを6月に公表する社会保障国民会議に向けて、特別部会の考え方を示す目的で急遽まとめられたものです。本来特別部会は、次世代育成支援に関わる制度全体の見直しが課題なのですが、今回の文書を見ると、もっぱら保育制度の問題が中心の論議になっているといえます。
 基本的考え方は、少子化の中でも増大する保育需要に対応するには、保育の供給「量」の拡大が急務であるとし、「保育サービス等の抜本的な『量』の拡充を実現するためには、認可保育所の拡充を基本としつつ、多様な主体が、…多様なサービスを提供する仕組みとしていくことが必要である」、「保育サービス提供の仕組みについては、…対人社会サービスの公的性格や特性も踏まえた新しい保育メカニズム(完全な市場メカニズムとは別個の考え方に基づくもの)を基本に、新しい仕組みを検討していくことが考えられる」としています。この文書の素案段階では、「準市場メカニズム」と表記していましたが、誤解を受けるとして「新しい保育メカニズム」に変更しました。直接明言はしていませんが、市町村との公法上の契約を結ぶ現行制度をやめ、利用者と保育所が直接契約する制度の導入を提言していると判断できます。
基本的考え方は、「量」拡大と同時に「質」担保の方策の検討を打ち出すなど、保育の市場化を求める乱暴な構造改革論議に比べ慎重な姿勢も見て取れるのですが、現行制度改善の可能性にまったく触れていないことなどからみると、厚労省導入自身が反対してきた直接契約導入の方向に自ら舵を切ったことは確実といえます。直接契約導入と明示しないのは、関係者の抵抗を恐れているとも受け取れます。

疑問のある提案
 本来ならば、なぜ需要増(対象の拡大(普遍化))に対応できない現状が生まれているのか、現行制度に問題があるとするならその要因は何か、新制度との比較を含め、慎重な検討を加えるべきです。私たちは、従来から公的責任が明らかな現行保育制度に基づき、最低基準等の諸条件を改善させながら、予算増を図ることが、すべての子どもたちに必要とされる保育を保障するもっとも確かな道と考えています。
 基本的考え方に示されたように、新しい制度導入にあたっては、多面的に慎重な検討をしなければならないほど不安や疑問があるのです。なぜ、そんな不安や疑問のある新制度導入を急いで表明する必要があるのでしょうか?結局のところ、特別部会が組しないとした完全な市場化を求める構造改革論に絡め取られていく危険性を強く感じます。

保育運動の進展のために緊急アピール
 全国保育団体連絡会では、緊急アピールを5月25日の第31回総会の場で採択し、この事実を関係者に知らせることとあわせて、関係機関への意見表明を緊急に行う等の取り組みをはじめることを提起しました。


下記のリンクから、緊急アピールのページへ移動します。
【全国保育団体連絡会 緊急アピール】

<< 「NEWS(全保連の活動)」の目次に戻る印刷に適したページ >>

Copyright 2006 © Zenhoren All rights reserved.
ページの先頭へ ↑