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【09.12.10】福島少子化対策担当大臣宛要請書

2009年12月10日 内閣府特命担当大臣
福島みずほ 様

全国保育団体連絡会
会長 大宮勇雄 
〒166-0001 杉並区阿佐谷北3-36-20


2010年度予算編成にあたっての要請書
保育所運営費負担金は一般財源化せず維持・改善することを求めます

 日頃より保育施策の拡充にご尽力いただき、感謝申し上げます。
 私たち全国保育団体連絡会は、保育所に関係する保護者、保育者、研究者等が集う団体です。すべての子どもに豊かな保育が保障されることを願って活動しています。
 現在2010年度予算編成において民間保育所運営費負担金の一般財源化が検討されていることに大きな不安を抱いています。保育所運営費は全国の民間保育所の運営を支えるために不可欠の補助・負担金であり、廃止・一般財源化等の結論が拙速に下されることのないよう強く要望するものです。

待機児童解消のためには保育所運営に対する国の財政関与は不可欠

 保育所は、子育てを支える住民生活に不可欠の福祉施設であり、保育所の整備、諸機能の拡充は、地域住民の切実な願いです。
 一般財源化が検討されている民間保育所運営費負担金は、全国的な保育水準を確保するために機能してきた補助金であり、その廃止・削減は、保育における地域格差を拡大させ、特に財政力の弱い自治体における保育供給量の縮小とともに質の低下、保護者負担の一層の増大をもたらします。
 事実、自公政権下で実施された、公立保育所分の運営費の一般財源化(2004年度)等の影響で、多くの自治体が保育所運営費の節減・圧縮を余儀なくされています*1 。公立保育所の施設数・入所児童数の減少*2、職員の非正規化*3も進みました。そのような施策の後退を再現してはなりません。
 地方への財源保障を充分に行えば問題は起きないという意見もありますが、地方財政は非常に逼迫しており税源移譲を行ったとしても保育施策に使われる保障はありません。何よりも、幼い子どもの命を守りその成長を保障するためには、時々の自治体の状況に左右されないよう財政的な下支えを国として行うことがどうしても必要です。
 保育所運営費負担金は、まさに子どもの生存権と家族の生活を守るために重要な役割を果たしています。しかしその内容は決して十分ではなく、例えば保育の質を決定づける保育士の労働条件を低くせざるを得ない状況にあり、先の事業仕分けでも賃金水準の低さが問題になり、改善が課題になったところです。保育所に求められる諸機能を向上させるためには、保育所運営費負担金等を維持しつつ、その改善を図ることこそが必要です。

待機児童解消のための保育所整備緊急対策こそ急務

 かつて1950年代初頭において保育所運営費が地方負担化(地方財政平衡交付金)されたものの、地方の保育行政が大混乱し国庫負担金制度に戻されたことがあります。拙速な転換は混乱のもとです。保育所運営費負担金等の廃止・一般財源化は、緊急の課題である待機児童の解消を困難にし、新政権の政策合意事項である「保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる」に反する状況を地域にもたらすでしょう。
 私たちは子どもの権利最優先の保育・子育て支援策の実現を切実に願っています。その立場から、国に対し現行制度の改善による保育・子育て支援施策の拡充、予算の大幅増額、地方自治体や保護者への十分な配慮を求め、以下について強く要望します。

  1. 希望するすべての子どもが保育所に入所できるよう、国の責任で緊急に保育所整備を行い、待機児童を解消してください。

  2. 児童福祉法第24条に基づく公的保育制度を堅持・拡充してください。国と自治体の責任を後退させる保育所への直接契約・直接補助方式、保育料応益負担方式の導入はやめてください。

  3. 保育所・幼稚園・学童保育・子育て支援施策拡充のために予算を大幅に増やしてください。

  4. 国が定める児童福祉施設最低基準(保育所の施設設備の基準、職員配置基準)を規制緩和せず、抜本的に改善してください。

  5. すべての子どもの発達保障と保育の質の向上のために、保育所・幼稚園・学童保育などの職員の処遇を専門職にふさわしく改善してください。

  6. だれもが安心して子どもを生み育てることができるよう、雇用の安定や労働時間短縮をすすめ、子育てにかかる経済的負担の軽減をしてください。

*1 日本保育協会の調査(2007.4)では、一般財源化等の影響により保育所運営費を節減・圧縮したと答えた市は61%、特に人口の少ない市に大きな影響が出ている。財源確保が困難になったと回答した市も6割に達している。

*2 1990年代後半以降需要急増期であるにもかかわらず公立保育所数は年間100園程度減少してきたが、一般財源化された2004年度以降は毎年200園を超える減少をつづけている。入所児童数も、2004年度から減少しはじめ、2006・2007年度の前年度からの減少数はともに2万5千人を超える。

*3 日本自治体労働組合総連合による「保育行財政に関する市町村アンケート」(2009.6)では、通常保育に従事する公立保育所の保育士のうち非正規雇用者の割合は42.5%であり、非正規保育士の割合が6割を超える市町村が27.5%あった。

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