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【03.08.15】「改正児童福祉法に基づく保育計画について」への意見
2003年8月15日 全国保育団体連絡会 会長 上野さと子
1.「市町村保育計画」策定市町村の要件について 児童福祉法第56条8第1項は、いわゆる待機児童が多い市町村に、市町村保育計画を策定することを求めています。 今回、明らかにされた省令では、その待機児童から、(1)保育ママ事業利用児童、(2)自治体におけるさまざまな単独施策利用児童、(3)希望する保育所以外の保育所に入所できるのに入所していない児童、を除くとしています。こうした児童を、待機児童としないことは問題であり、強く再考を求めます。 保育所の待機児童とは、希望する保育所に入所申請したにもかかわらず定員等の関係で入所できない児童です。希望の保育所に入所できない場合、多くは、やむなく保育ママ事業や、認可外保育施設など自治体における単独施策を利用していますが、認可保育所への入所希望がなくなったわけではありません。 また、希望する保育所以外に入所できる保育所があるといっても、兄弟の関係や、通勤経路などそれぞれの家庭の事情があり、どの保育所でも入れればいいというものでありません。児童福祉法第24条は、保育に欠ける児童の保護者から申し込みがあった場合、その児童を認可保育所において保育することを定めています。1997年の児童福祉法一部改正時には、改正の要点として保育所選択において保護者の希望が尊重されることが説明されています。保育所選択における希望がかなわず、やむなく他の措置をとらざるを得なかった保護者とその児童を待機児童から除くことは、児童福祉法の趣旨に反するものです。 2001年度より通知により変更されている待機児童の定義の問題点については、かねてより指摘しておりますが、これを省令という形で法令化することは、待機児童の概念の矮小化であり、児童福祉法24条の形骸化と言わざるをえません。したがって、こうした省令には強く反対するものです。
2.主務省令で定める子育て支援事業について 市町村保育計画の策定に当たっては、主務省令で定める子育て支援事業について市町村が必要と認めれば計画に盛り込めることになっています。主務省令では子育て支援事業を、(1)保育ママ事業と、(2)幼稚園の預かり保育事業としていますが、待機児童の解消にあたって、安易に幼稚園の預かり保育を位置づけることは問題があります。 幼稚園の預かり保育は、近年働く母親の増加に伴い広がりつつあり、いまや幼稚園の預かり保育は、保育時間だけから見れば保育所とほとんどかわらない実態がありますが、一方で予算や体制、条件整備が不充分ななまま、要求に応じて広がっているのが現状です。子育て支援事業の枠を超えて、福祉的機能を備えるための条件整備こそ課題といえます。
最後に 今回の「改正児童福祉法に基づく保育計画について」への意見の募集は、告知が8月7日、締切が8月15日というように募集期間がたいへん短く、広く国民の意見を承るという点においてまったく不充分であるといわざるを得ません。今後、こうした拙速な意見募集はせず、「広く国民の意見を承る」にふさわしい意見募集をされるよう要望するものです。
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