全国保育団体連絡会

監査は書面やリモートで!?
監査の規制緩和にパブリックコメントで反対の意見をあげよう!

児童福祉施設に対して都道府県知事が行う指導監査等について、実地監査を原則とする規定を削除し、書面やリモートでもよしとする規制緩和案が示され、パブリックコメントでの意見募集が始まっています。募集の締切は1月22日です。

児童福祉施設への指導監査がさらに形骸化し、子どもの命や安全を脅かす恐れもあります。反対の意見を、現場からあげましょう。

パブリックコメントはこちらから↓
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495210339&Mode=0

<文案1>

 子どもの命と安全を守り、保育の質の向上をはかるためにも、保育施設に対する実地検査の省略を求める規制緩和に反対します。

<文案2>

 この間、規制緩和を軸にすすめられている保育施策によって、現場の保育施設等では、十分な保育の質が確保されているとは言い難い状況が生まれている。
 もちろん優良な施設も多々あるが、認可保育所においても、子どもが死亡するなどの重大事故は後を絶たず、子どもの成長・発達の観点からみて不適切な保育者の存在も報告されている。また、保育士不足を背景に、保育者の資格要件の緩和が進行しており、子どもの命を守り、豊かな成長を保障するためにも、行政の施設に対する指導監督の責任はさらに増している。
 内閣府子ども・子育て本部による「教育・保育施設等における事故報告集計」によれば、認可保育所における重大事故(死亡事故や治療期間30日以上の負傷や疾病、意識不明の事故等を伴う重篤な事故など)は、2016年474件から2020年1081件と、増加傾向にさえある。
 2021年7月に送迎バスに5歳児を置き去りにして死亡させた保育園に対して、福岡県や中間市は、特別監査などを続ける中で、この園において職員が複数の園児に体罰や暴言といった虐待を繰り返していたとはじめて認定したのだが、園側に改善勧告を行うまで3か月の期間を要している。このことからしても、書類上だけの監査では、子どもの命は守れないと考える。
 コロナ禍を理由に実地検査を簡素化すれば、この措置は恒久化されてしまう。改めて、行政による監査は子どもを守り、適切な保育を行なうために不可欠の仕組みであることを確認する必要がある。
 以上のことから、実地検査の省略を認める規制緩和に強く反対する。同時に、これまで以上に厳格な監査の実施と、丁寧な指導を行うような行政組織の体制強化を求めたい。
 また、監査を受ける施設側に負担感があるのであれば、保育の実施責任を行政が有していることをふまえて、施設において日常活動に支障のないように監査を受けいれられるような体制の整備こそ、行政が強力に進めるべきである。