監査の規制緩和問題で、再度パブコメ募集。現場から声を届けよう!
監査の要件緩和問題で、厚生労働省は異例ともいえる2回目のパブリックコメントを実施しています。意見募集期間は8月2~31日、積極的な意見提出を呼びかけます。
この間の経緯と私たちのとりくみ
1回目のパブコメは、2021 年12月~22年1月に実施されました。内容は、都道府県知事・市町村長が1年1回以上実施する、保育所などの児童福祉施設等に対する指導監査について、実地で行うとしている要件を児童福祉法施行令(政令)から削除し、法的な制限のない通知レベルに格下げしたうえで、書面やリモートでもよしとする提案でした。
パブコメには280件の意見が寄せられ、多くが実地検査(立ち入りによる監査)の削除に反対でした。このため厚労省は22年4月からの実施を延期し、夏頃あらためて案を示すとしたのです。
全国保育団体連絡会では、パブコメに意見を送るとりくみを呼びかけ、さらに、厚労省が案を示す夏までの間に、Webも活用して緊急署名を呼びかけました。大阪保育運動連絡会では、1,100人を超える職員・保護者の意見・要望を集めて、記者会見を行い、国に届けました。
こうした動きもあって、今回の提案は、「政令から削除」することは撤回し、引き続き政令で実地検査を原則としつつ、例外的に実地でなくても検査を実施できるよう「改正」する、というものです。例外の内容は『①天災その他やむを得ない事由により当該年度内に実地検査を行うことが著しく困難又は不適当と認められる場合、②前年度の実地検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を勘案して実地検査が必ずしも必要でないと認められる場合』です。②については、政令で義務とされていても監査実施率は6割(2019年)、という現状もふまえると、②の判断基準が明確とは言えない文面を盛り込むことで、実質的な規制緩和となる恐れがあります。
パブコメに意見をあげよう!
子どもたちの安全や、保育の質を守るために、積極的に現場から意見をあげましょう。園の職員や保護者、近隣の園など、地域の保育関係者にこの動きを伝え、意見提出を呼びかけましょう。
提出方法
(1)意見提出フォーム(パブリックコメントのサイト)
(2)郵送
郵送先や意見提出フォーム等は、パブリックコメントのサイトでご確認ください。
https://bit.ly/3vAiTPR
(e-GOVパブリックコメント/カテゴリー:社会福祉/案件番号:495220119)
意見の例
- 例外内容の「実地検査が必ずしも必要でない」事例については、保育の質の確保と両立した実効的な監査指導の確立が保障されるものとなっていないため、改正内容から除外すべきです。また、これまで実地検査の実施義務が果たされていない地方自治体の実情こそ、国の責任において改善すべきです。
- 前年度の実地検査の結果が良いからといって、翌年に重大事故等の問題が起こらないとは限りません。例外的な対応は「天災その他やむを得ない事由」に限定すべきです。事故が増加している現状もあり、年1回以上、行政が現場を訪問し実態を把握することが重要です。